とりあえず、山を2つ越えたけど。

 苦しんでいた大きな山を2つ越えて、その勢いで一昨日さらに小さな丘を1つ越えて、6月中の締切はあと小山1つだけになった。ほんまにもう、中期高齢者の真っ只中だというのにいつまで追われるのか…というか、そもそもは自分で突っ込んで行った案件ばっかりであるが。

 まず、大山の1つの『インタレスト』39号は、1週間ぐらい前に原稿と割付と写真の整理をようやく完了して全部デザインに入れて、あとはデザインが上がってきたら校正を何度かやり取りするだけになったので、何とか1カ月遅れで7月1日には発行できそうなところに漕ぎ着けた。今回の特集は、

●通りの名前
●日本の祝日、世界の祝日
●香川の高校文化部の勢力界隈

の3本立て。タイトルだけでは今ひとつワクワクしないかもしれないが、いつものように集めたデータから発見した小ネタやウンチクは結構盛り込んであるので、文字を読むのがさほど苦にならない人にはそれなりにお楽しみいただけるのではないかと思う。ご希望の方はいつものように、メールならinterest@sg-u.ac.jp、ハガキ等なら765-8505香川県善通寺市文京町3-2-1四国学院大学「インタレスト」編集部まで、送り先を明記してお申し込みいただければ、週1の授業なので1週間前後で「本誌無料、郵送料着払い」でお送り致します。あるいは、とっとと手に入れたいという人は7月1日前後に人気うどん店(山越、がもう、なかむら、日の出製麺所、山内、清水屋、田村等々)、道の駅滝宮とかに置きますので、そちらで入手してください。

 続いて2つ目の大山の『超麺通団5』は既報の通り、1月中旬に原稿を上げたのにN日本出版社のU山さんから「2冊いっぺんに出しましょう」という注文が入って、その後、私が必死に詭弁を弄して「とりあえず1冊だけにして年内にもう1冊」という妥協点に落ち着いて、U山さんのご意向も入れて4分の1ほど書き直して、『超麺通団5~レジェンド6とゆらぎの法則』という仮タイトルを付けて3月末に入稿した。

 すると、それを読んだU山さんから「原稿の本編に『恐るべきさぬきうどん』に関する記述が何度か出てくるけど、今の子はほとんど元ネタを知らないから、『恐るべきさぬきうどん』に出たレジェンド6の店の文章を再掲しましょう」というオファーがあった。その辺の読者感覚は私にはよくわからないので(若い子が買うような気がしないので・笑)「お任せしますけど、パソコンのない時代に書いた本なのでテキストデータがないから、全部打ち直したらいいんですか?」と返すと、「本をスキャンしたら一気にテキストデータにできます。それはうちでやりますから大丈夫です。あと、権利関係もこっちでクリアしときますから」とのこと。それでとりあえず、4月の中旬頃に『超麺通団5』の私の作業はようやく一段落したのである。

 ちなみに、このスケジュールを見て『インタレスト』のヘビーな読者兼プロの編集者(2人しか思いつかんが)ならお気づきだと思うが、4月中旬~5月上旬は、いつもなら6月1日発行予定の『インタレスト』が最終締切の佳境も佳境に入って生きた心地のしない日々が続いているはずの時期である。しかし、『超麺通団5』がそういうことになっていて、さらに毎月4~5本の『うどラヂテキスト版』の締切と大学の授業がのしかかっていて、それらを全部並行して抱えてギリギリまで頑張っていたのだが、ついに苦渋の決断で、周りに迷惑を掛ける度合いが最も少ないと思われる『インタレスト』を1カ月遅れにすることにしたのである。

 そうこうしているうち、5月の10日頃になって『超麺通団5』の初稿が上がってきたので、私は『インタレスト』の編集作業の手を一旦止めて校正を始めた。精査が十分でない原稿を出していたので、1ページ目から読み直していると次々に修正したくなる箇所が出てきて、ゲラはたちまち赤入れと付箋の山になっていく。「阪神のゲラも今、2軍で修正の嵐に見舞われているだろうな」と思いながら、本編の200ページ以上の校正修正を終えて、最後に巻末の『恐るべきさぬきうどん』の再掲部分の校正に入った。まあここは「元の本をスキャンして文字に起こした」部分だから、校正は楽勝だ。

 なになに? 「我々はこういうおつちやんが大好きだ」。「おつちやん」って誰や。そこは小さい「ゃ」で「おっちゃん」や。スキャンしたら小さい「ゃ」とおおきい「や」が判別できんのか。

 なになに? 今度は「おばちやん、もろみちようだい」か。これも小さい「ゃ」の「おばちゃん、もろみちょうだい」や。

 なになに? 「なんじやこりやー!」「わつちやー!」「どつしえー!」、おいおい、これ、全部こんなことになっとんかー!

 というわけで、再掲部分の校正は大変なことになった。一通り校正して2周目に入ると、小さい「ゃ」の見落としがまた出てくる。しまいにゲラは付箋でヤマアラシみたいなことになって、私は全部ちゃんと直って帰ってくるか心配しながら、レターパックからはみ出しそうになって早々に送り返したのである。

 10日ぐらい経って、再校正が帰ってきた。再び最初から読み直して、誤字脱字に加えて少々の書き直しを入れて『恐るべき』の再掲部分に入ったら、まだ「おつちやん」と「わつちやー!」と「どつしえー!」が出てくる。一校のヤマアラシほどではないが、今度はステゴザウルス10匹分ぐらいの状態になったゲラをまた返して、私は3回目の校正が返ってくるのを待った。すると6月4日、3校のゲラではなく、U山さんからこんなメールが届いた。

「田尾和俊様、いつもお世話になっております。無事、入稿しました。明日からアマゾンなどに告知をはじめます。」

 おーい! 3校なしで印刷に入れたんかーい! 
私は慌てて電話を入れた。

田尾「U山さん、もう一回校正ないん?」
U山「あ、大丈夫です。ちゃんと直しておきましたから」
田尾「それ、僕がチェックしたやつだけやろ? 僕、“節穴の目を持つ男”やで」
U山「ちゃんと見ましたから大丈夫です」
田尾「ほんまにー?」

 という状態で、たぶん7月上旬には出るらしい。もしそこに「おつちやん」や「わつちやー!」や「どつしえー!」を見つけたら、「日本語文化を継承するため、あえて旧仮名遣いを使ってみた」ということにしておいていただきたい。ちなみに、タイトルは「復活超麺通団~恐るべきさぬきうどんの世界」に変えられて、こんな画像が添付されていた。

 しかも、7月12日の14:00から、丸亀町の宮脇書店本店でトークショーをやらされることになってしまった。一人では恥ずかしいので、本編に登場する『うどラヂ』メンバーも連行して行きます。まあ恥ずかしい。