団長日記
「投」に立つ物
「いつの間に3月が20日も過ぎたんや!」という、数十年も学習せずに締切時になるたびに繰り返してきた「こんなになるまで何をやってたんだ」というやつにフワッと包まれているここ1カ月である。去年の3月は『超麺通団5』と『インタレスト』と「うどラヂ・テキスト版」と「讃岐うどん未来遺産プロジェクト」の原稿を抱えながら年度末の学生指導とか会議とか新年度カリキュラムの作業等々がのしかかってきていたところ、今年は今、『超麺通団6』の原稿を執筆中ではあるが、『インタレスト』と年度末の学生指導と会議と新年度カリキュラムの作業等々がばっさりなくなったというのに、日記を更新する余裕もないほど“追い込まれ感”が押し寄せてきているのはどういうことか。
冷静になってよく考えてみたら、ある3文字の原因に気がついた。それは、「おおい」…ではなくて、いやドンデコルテはメチャメチャおもしろかったけどそうではなくて(笑)、「ゆだん」である。これをわかりやすく説明できないのでわかりにくく言うと、ボコッと時間が空いたらそこに新しいものをキュキュッと入れていくのではなく、残ったものがフワーッと広がっていって、結局入るところがなくなって同じようにだんだん追い込まれていく…という感じ。で、その「残ったものがフワーッと広がっていく時」が「油断している時」なのだろうと思っているのである。と言っても毎日長い時間パソコンに向かって唸ってはいるのだが、とりあえずこういう時は「集中」で乗り切るしかない…と自分に言い聞かせながら早や40年。ほんまに学習せんなあ(笑)。
というわけでこないだ夫婦でスーパーに買い物に行って、「いるもの」と「なくてもいいけどあったら食べるもの」をしこたま買い込んで、家内がレジをしている間にレジを抜けた先あたりで掲示物を「集中」して見ていたら、誤字を発見した。このご時勢、漢字の変換ミスとか間違いやすい書き間違いはよく見つかるが、これは初めて目にしたので、記念に一つ(笑)。

*追伸:ライオン通の「ピッコロヂヂ」ファンの皆様へ。1年半にわたるマスターの静養がジワジワと明けて、今、ランチのみ営業を再開しています。昨日の昼、夫婦で行ってきました。店に入ってひとしきりマスターの復活を祝った後、注文。
(ママ)お昼はランチメニューで2種類だけやってるの。今日は○○と△△。
(団長)どっちも食べたことないやつや。
(ママ)そらそうよ。お昼だけのメニューやもん。田尾さん、夜しか来ないから。特に△△は今日だけのメニューだからお勧めよ。
(団長)じゃあ、△△の方で。
しばらくして出てきた△△は、メニュー名を覚えてないので「△△」としか書けんけど、キノコペーストがベースで薄い豚肉が入ったまったりしたソースが絡んでいて、一口食べたら目が覚めるほどうまい!
(ママ)どうだった?
(団長)むちゃくちゃうまい! これ、僕の中で「ミートソース」を抜いて1位に躍り出たわ!
(ママ)まあよかった。
(団長)ほんま、何でもっと早よ知らんかったんや。
(ママ)だからさっき「今日だけのメニュー」って言ったじゃない。
(団長)あ、そうか。
さっき聞いたことを、一口食べたらもう忘れとる。みんな、歳取ったらそういうことになるからな。集中、集中!
小学生にも容赦しない(笑)
こないだの木曜日に今シーズンの私の担当授業が終了し、さらに26人も抱えている卒業研究の指導も終わり、担当科目の成績付けも完了。例年なら2月にはもう『インタレスト』の6月1日号の編集作業が追いかけてきて、3月中旬頃からデザイン発注に向けた「怒涛の締切月間」が始まるところであるが、20年間追われ続けてきた『インタレスト』がついに終了したので、一息でなくて五息ぐらいついているところである。
そういうわけで、授業が終わった木曜日の夜は夫婦で「本気豚食(ホンキートンク)」でトンカツ食って、そこから「グランドファーザーズ」に行ってコーヒーを飲みながら一服していたら、家内がまだ仕事中の谷本姉さんに「グランドファーザーズでおるで」と連絡をしてしまい(笑)、谷本が「晩ご飯食べてないので『銀だこハイボール酒場』でもいいですか?」と言うので「晩飯、タコ焼きか?」と思いながらも夜の9時過ぎに「銀だこハイボール酒場」で合流してそこで閉店間際までしゃべり倒して、まだしゃべり足らなくてまた「グランドファーザーズ」に戻ったらスタッフに「お帰りなさい」と言われて(笑)、そこから日付が変わった午前2時までクダを巻いて、家に帰ったら倒れ込むように寝たのに歳のせいで翌朝はちゃんと目が覚めて、そのまま峰山に登って3時間ぐらい徘徊してしまうという、あまりの解放感に「どうかした」としか言いようのない週末であった。
そんな土曜日、長男夫婦が孫を2人連れて我が家にやって来た。孫は上が小学校3年か4年か5年、下が幼稚園か小学校1年か2年の姉妹であるが(覚えとらんのかい!)、まあ孫が来たからといって私は何をするわけでもなく、仕事部屋で仕事をしたり、たまにテレビを見たりしていたら、この日は何やら孫が私に用事があるらしい。
(長男嫁)みーちゃん(上の孫)、おじいちゃんに宿題のお話聞いたら?
(田尾) 何を聞かれるんや。
(長男嫁)何か学校の宿題で、「周りの大人にお仕事のことを聞いてくるように」とか言われてるらしいんです。
(みー) ……
シャイなのか、はたまた質問を頭の中で整理しているのかよくわからんが、そこでちょっと間が空いて当の上の孫が他事を始めたので、私は流れのまま仕事部屋に入って、一人で仕事を始めた。そこから小一時間、隣の部屋で長男夫婦と家内と孫2人が何かしゃべったり遊んだりしていたのだが、しばらくして上の孫が仕事部屋に一人で入ってきた。
(みー)おじいちゃん。
(田尾)何だ、さっきの宿題か。
(みー)うん。
(田尾)おじいちゃんのお仕事の内容を話したらええんか?
(みー)そうじゃなくて、「働くことについて」って。
(田尾)「働くこと」について語れと?
(みー)たぶんそう。
(田尾)えらいアバウトな質問やな。そんな大きなくくりだったら、答えることがありすぎるぞ。何なら1時間ぐらいしゃべってもええか?
(みー)そんなにはいらない。
ふーむ、まだ軽いボケにノリツッコミするまでは成長してないみたいだ。ま、私もそんなにしゃべるつもりはないのだが、何せ聞かれているのが「働くことについて」だから、一体何を求められているのか出題者の意図がわからんのでは、何を言ってやればいいのかもわからん。小学生の聞き取り調査をきっかけにして、とりあえず「働くことの意味を考えよう」という程度のことなのか? 「学校~教育~労働」とつなげるとつい想像してしまう左翼的な「労働」の話に持って行きたいのか? 「このご時世にそんなバカな」と思いたいが、私の信頼できる知人から「県内の小学校で左翼教育をしている」という証言を何度か聞いているし、そんな内容のプリントも見せてもらったことがあるので「そんなことはない」とは言い切れないし(笑)。
しかしまあ好意的に考えて、子どもたちみんながいずれ経験するであろう「働くこと」について、「実際働いている人にいろんな話を聞いて考えてみよう」ぐらいの軽くて健康な教育の一環だろうと思うことにして、しかしそれでも質問がアバウトすぎていろんな視点がありすぎるから、「何か一つに絞らないと」と思って小考した後、私は話を始めた。
(田尾)みんないろんなお仕事してるだろ?
(みー)うん。
(田尾)お父さんもお母さんも違うお仕事してるし、おじいちゃんも違うお仕事をしてるだろ?
(みー)うん。
(田尾)そういうふうにね、たいていみんな違うお仕事をしてるんやけど、お仕事をしている人はみんな、働いている時の「気持ち」の中に、「自分のために働いている」という気持ちと、「誰かのために働いている」という気持ちの2つがあるんよ。
(みー)………
(田尾)「自分のために働いている」という気持ちは、例えば働いてお金をもらって「欲しい物を買おう」とか「好きなモノを食べよう」とかいう気持ちね。わかるか?
(みー)うん。
(田尾)「誰かのために働いている」という気持ちは、例えばこのお仕事を私がしたら「誰かが喜んでくれる」とか「誰かの役に立つ」とかいう気持ち。わかるか?
(みー)何となく。
(田尾)ほんでね、働いている人はたいていみんなその両方の気持ちがあるんやけど、その比率が違うんだ。「比率」、わかるか?
(みー)わかんない。
(田尾)んー、じゃあ、「自分のために働いている」という気持ちがいっぱいあって「誰かのために働いている」という気持ちがちょっとしかない人がいたり、「誰かのために働いている」という気持ちがいっぱいあって「自分のために働いている」という気持ちがちょっとしかない人がいたり、両方が半分ずつぐらいあったりする人がいたりする。
(みー)うん。
(田尾)ほんでね、同じ人でも、仕事によって「自分のために働いている」という気持ちがいっぱいになったりちょっとになったりするし、若い時とか歳を取ったりとか、のんびりできる時とか大変な時とか、いろんなことが変わった時も「自分のために働いている」という気持ちがいっぱいになったりちょっとになったりするんだ。
(みー)………
(田尾)ほんでね、おじいちゃんはどんな時でも「誰かのために働いている」という気持ちが半分以上ある人が好き。以上や。うまいことまとめとけ。
まあ小学生にはうまいことまとめられんとは思うが、「たまには脳の違うところを動かしてみるのも一興」ということである。あと、「おじいちゃんにうかつなことを聞いたらめんどくさい」ということも知らせてやったということで(笑)。
2025年「団長ニュース」(最終回)
10日ぐらい前に数十年ぶりに昔なじみの四国新聞のM車記者から電話がかかってきて「『インタレスト』の終了を記事にしたい」と言うので、恥ずかしながら「そんなものでよければ」ということで受けたら、先週の木曜日に取材に来てくれた。ちょうど『インタレスト』の授業の後だったので(冊子の発行は終了したが、授業は2月まであるので)、最終号の編集長の坂東と副編集長の宮地、池川、滝口、小野の首脳陣も残っていたのだが、M車君に「写真を撮るのでみんな並んでください」と言われてホワイトボードの前に並んだ時に気がついた。
田尾 いかん。最終号の首脳陣、『インタレスト』史上初めての「女子ばっかり5人」や。
M車 いいじゃないですか。
田尾 いかんいかん! ちょっと平松(男)呼んでこい!
坂東 平松さん、今日来てないんで間に合いませんよ。
というわけで女子学生5人と一緒に写真を撮られたため、私はいつ新聞に載るか、毎日四国新聞が届くたびにビクビクしながらページをめくっていたのである。すると、20日の火曜日にM車君から電話がかかってきた。
M車 あ、田尾さん、こないだ取材したやつ、明日載りますんで。
田尾 明日かー。
M車 ただ、一つ残念なことが。
田尾 何? 何か悪意のある記事になった?
M車 いや、田尾さん今日、70歳になったじゃないですか。それで、昨日までに掲載されたら年齢表記が「69」だったのが、「70」で載ることになりました。
田尾 掲載拒否じゃ。
というニュアンスのやり取りがあって、昨日の新聞に半4段ぐらいで大きく掲載されました。あー恥ずかしい(笑)。
しかし、これまで新聞もテレビも雑誌も、私が出た時はほぼ例外なく私の意図することからちょっと違ったニュアンスが出ていたのであるが、今回の記事は気心が知れていたせいかM車記者の“腕”か、タイトルから本文の言葉の端々まで、私にとっては完璧な記事であった。過去の特集の切り口のおもしろさを並べた後、「その一方で○○、○○など、恐らくこの先役に立ちそうもない調査も」とちゃんと落として(笑)、しかし「その切り口やユーモアがファンを魅了してきた」とフォローしてくれている。「最後に読者に一言」と言われていろいろ思いつきで答えた内容も、「田尾教授は読者に向けて『いつまでもあると思うなよ(笑)。こんな癖のある雑誌で一緒に遊んでくれてありがとう』と感謝」とまとめてくれた。私の中では冗談に見せかけて結構深いつもりの「いつまでもあると思うなよ」のワードを最優先に切り取って、しかしそこに(笑)をくっつけて私を「いい人」に見せてくれるあたりも文句なし…って、プロの記者に何を上から目線で言っているのか私は(笑)。いや、本当にありがとうございました。いい“締め”になりました。
といったところで、さすがにもう去年の話をいつまでも引っ張るわけにはいかないので、2025年「団長ニュース」の残りをタイトルだけ羅列して終わっておく。
【13位】数十年ぶりに日本コナモン協会の熊谷真菜会長に呼び出されて、高松で行われたコナモン会議に出る。
【12位】日の出製麺所の三好君の出版記念パーティーに連行されて、ガモムスたちと出て小ネタを披露する。
【11位】NHK高松の「讃岐うどん特集」に出る。
【10位】NHKワールドの「うどん特集」に出る。
【9位】高松西高の「うどん」をテーマにした放送作品に出る。
【8位】「カマ喜ri」でPayPayデビューする。
【7位】「時とまる」にハマる。
【6位】岡山の情報誌『オセラ』に出て、『うどラヂ』テイストで「注目の若手うどん店」を紹介する。
【5位】残念なうどん屋に4軒も当たる。
【4位】『うどラヂ』1000回記念イベント開催。
【3位】『インタレスト』終了。
【2位】『超麺通団5~恐るべきさぬきうどんの世界』を出版。
以上、書こうと思えばそれぞれ一本ネタになるのだが、そんなことをやってたら年が明けそうなので、詳細はまた「いずれの機会があれば」ということで、1位はこれ。
【1位】「おか泉」の店の前にバス停「おか泉前」ができる。

いや、団長のニュースというわけではないのだが、これは讃岐うどんの史上のポジティブな意味での「事件」であると思ったので(笑)。詳細はまた「いずれの機会があれば」ということで。
