団長日記

西山朋佳、あと2歩。

 今朝のNHK-Eテレの将棋の『NHK杯』の中継は、「藤井聡太vs西山朋佳」という、将棋ファン大注目の一局であった。

 将棋ファンには今さら説明するまでもないが、団長日記を見ている将棋ファンは今のところ1人しか確認されていないので説明すると、いや、団長日記を見ている将棋ファンでない人には説明しても全く興味がないと思うが、西山は福間(旧姓里見)香奈と並ぶ女流棋士のトップ2の一人である。女流棋士界のタイトルは男子(正確には男子に限っていないが、男子しかいない)のプロ棋士の世界と同じく8つあるが、今、福間が5冠、3歳下の西山が3冠という“寡占状態”にあって、2015年から福間(里見)一強の時代になっていたところへ、2019年頃から西山が台頭してきたという流れである。

 その西山が、6月にNHK杯の1回戦で、女流棋士ながら男子プロ棋士界のタイトルホルダーでもあった木村一基のおじさんに勝っちゃって、将棋ファンが騒然となった。何で騒然となったのかというと、木村九段に勝ったというのもすごいことであるが、勝って次の2回戦の相手が「藤井聡太」だったからである。そして、その注目の対局が今日放送されたため、私は朝10時半過ぎの“初手”から終局までずっと、テレビにかじりついておりました(かじりついてはないけど)。まあ、実力的にはさすがに勝てる可能性は限りなく低いとは思っていたが、AI評価は中盤まで互角で、結局負けちゃったけど西山の「豪腕」というニックネーム通りの切り込みも何度かあって、“観る将”としては十分満足の一局であった。あと、西山の対局姿と対局後のコメントを初めてフルで全部見たが、いや、佇まいが実にいい。私の「気持ちのいい佇まいリスト」に追加である。

 ちなみに、女流棋士というのは、藤井や羽生といった棋士たちがしのぎを削る「日本将棋連盟」の「棋士」ではない。女流棋士界はプロ野球で言うと「日本野球機構」に対する「日本女子プロ野球機構」みたいな感じで、その“女子リーグ”の選手がいわゆる「プロ野球野球選手」とは呼ばれないのとよく似ている(ちょっと表現が違ってるかもしれないが)。ただし、そんな女流棋士も、直近の勝率等の条件をクリアすると「棋士編入試験」を受けることができて、そこで合格すれば、晴れて「棋士」になれる。

 棋士編入試験は「5人の試験官のプロ棋士と対戦して3勝すれば合格」というもので、2年前、福間が里見時代に女流棋士としてたぶん初めて条件を満たして試験に臨んだのだが、“男子プロ”の壁は厚く、3連敗で合格できなかった。その試験に今、西山が挑戦中なのである。しかも、こないだの9月10日にあった最初の対局でいきなり勝って、あと2勝すれば史上初の「女性棋士」が誕生するという、ちょっと歴史的なことが起こるかもしれないという状況である。編入試験の次の第2戦は、10月2日(水)であるが、テレビじゃどこも生中継してくれないと思うので、どこかで速報でも探すしかない。

 あと、今日は女子ゴルフの「東海クラシック」でも私の「気持ちのいい佇まいリスト」のメンバーである山下美夢有が最後まで優勝争いをしたのを見て、なかなか穏やかな一日であった。阪神が勝ったら「気持ちが上がる」が、いい佇まいの“推し”が活躍しているのを見ると「気持ちが穏やかになる」というのが、私の“佇まいポイント”の大事な条件である。ま、なかなか同意を得られない感情ではあるが、同意を得なくてもいいことではある(笑)。

若者の文字は小さい。

 先日、わけあって高松の太田あたりで1時間ほど時間待ちをすることになったので、サンフラワー通りのスターバックスに初めて入ってみたのである。

 私はスターバックスにはあんまり入ったことがないのだが、その理由ははっきりしている。私はスタバに対して「何か“意識高い系”の若い客がパソコン開いて“意識高い系”の仕事をしてたりする店」というイメージがあって、昭和のおっさんが一人で入って行ったら「場違いな客」になって店やお客さんにちょっと嫌な思いをさせてしまうに違いないという恐れを勝手に持っているからである。だから、今まで私がスタバに入ったのは打ち合わせとかで何人かと一緒に行った「丸亀町商店街のスタバ」と、おっさんが行っても全く“場違い感”のない「香大病院のスタバ」だけである(笑)。ところが、今回は「連絡があったらなるべく早く駆けつけないといけない場所の近くにある、仕事しながら時間を潰せる店」という厳しい条件を満たす店が「サンフラワーのスタバ」しかなかったため、意を決して入ってみたというわけだ。

 ちなみに、あそこのスタバは何年か前に通りかかった時に駐車場待ちの車が道路にあふれて連なっていて、それを警備員の方が何人かで交通整理をやっていたのを見て以来、何かいつもすごく混んでるイメージを持っていた。つまり「食わず嫌い」じゃなくて「行かず苦手」みたいなところがあったのだが、この日も車で店の前に行くと入口に警備員のおじさんが立っていたので、「今日も一杯か…」と思いながら、しかし駐車場待ちの車はいないようだったので案内されるまま敷地に入った。すると、すぐに「ドライブスルー」と「駐車場」と「出口」の表示が一辺に目に入ってきた。ん?…ん?

 実は、私は昔から「とっさの表示板」にとても弱いのである。まだカーナビが十分に普及してない時代の話であるが、牛乳屋さんの運転するパジェロ(カーナビなし)で京都から高松に帰ってくる途中、助手席でナビ係をしていた私は、高速で大阪を過ぎてしばらくして「神戸」と書かれた看板を見てとっさに「大阪→神戸→岡山やからそっちやな」と思って牛乳屋さんに「あ、その先、左です」言うて、それに従って牛乳屋さんが車を左車線に入れたらそのまま神戸市内の一般道に下りてしまって、そこから夜の暗い道を苦労して苦労して苦労してずいぶん走ってようやくどこかのインターから高速に乗り直したのだが、今度は岡山県に入って「岡山」とか書かれた看板を見てとっさに「岡山→高松やからそっちやな」と思って「あ、その先、左です」言うて岡山市内の一般道に下りてしまって、牛乳屋さんが「もうええわ!」言うて漫才を終えたぐらい「とっさの表示板」に弱いので、「ドライブスルー」と「駐車場」と「出口」の表示が一辺に目に入ってきただけでさっそく一回違うところに入って(笑)、切り返して何とか植え込みの向こう側の駐車スペースに車を停めて、店に入った。

 店内は案の定、若者ばっかりだ。2人掛けと4人掛けのテーブルは何となく埋まってて、どこに座っても若者と近いからあまりよろしくない(笑)。カフェラテのアイスのトールを持って店内を見渡すと、10人以上座れる大きいテーブル席の端の方が空いてたので、そこに座ってMacBook Airを開けた。すると、いきなり画面の真ん中に阪神タイガースの虎が吠えているマークが出たので、あわてて原稿のファイルの画面に切り替える。私のパソコンは買うたびに団員S原にセッティングしてもらっているのだが、勝手知ったるS原が勝手にトップに阪神のマークを入れたのである。しかし私はそれの差し替えの方法も知らないし、まあ別に特に支障もないのでそのままにしているのだが、唯一支障が出てくるのが、こうやって他の人がいるところでパソコンを開く時である。

 で、一瞬出た阪神のマークを後ろから誰かに見られてないかとちょっとだけ窺って(笑)、想像してもらうなら、映画の『スティング』で列車の中でゴンドーフ(ポール・ニューマン)がロネガン(ロバート・ショウ)をポーカーで騙す時に後ろに立っているロネガンの手下から手札を隠しながら確認する、あれみたいな感じでちょっとだけ後ろを窺って(わかるかい!)、テキストファイルを開いて、まずは「うどん関連」の原稿に取りかかった。

*****

(うーむ、文章が長いから途中でごんの相づちを一つ入れとくか)←私の心の中の声

ごん「どういうことですか?」

(ちょっとリズムが悪いか。もうちょっと短めにするか)

ごん「どういうこと?」

(ちょっと違うな…)

ごん「どゆこと?」

(やっぱりごんはこれやな)

*****

…などと推敲しながらおバカ原稿を書いていたら、後ろを若者客が通ったので、ふと気になった。賢そうな文章ならともかく、こんなアホな文章を後ろから見られたら、みっともないことこの上ないぞ。

 そこで一計を案じた私は、文章の表示倍率を一つ落とした。どうだ、これで後ろからチラッと見たぐらいでは何を書いてるかわからんだろう。私の視力にはちょっと厳しいが、メガネを外したら焦点は合うから大丈夫だ。ということでちょっと安心した私は、そこから恐るべき集中力が湧いてきて、なかなかの勢いで原稿が進み始めた。気がつくと、あっという間に40分ぐらい経っていた。

 しばらくすると、少し間を開けた隣に30代くらいの青年が座って、タブレットみたいなのを立てて何か仕事のようなものを始めた。斜め向かいではこれも30代くらいの女性がパソコンを開けて、リモートで何かしゃべっている。店内のBGMがそれなりの音量で流れているので、話し声はあまり気にならない。ふと外を見ると、テラス席でこれまた30代くらいの男性がパソコンにいろんなものをくっつけて、リモートなのかユーチューブなのかわからんが何かやっている。なるほど、そういう時代なのか。おっちゃん、そういう文明の利器には全くついて行けんわ。けど、書いとるもんのレベルとクオリティは、まだまだ負けてない気がするぞ(笑)。

 などと思いながらついでに日記の原稿も書いてたら、呼び出しがかかった。パソコンを閉じてバッグにしまって席を立って、帰り際に隣の兄ちゃんのタブレットの画面をチラッと見たら、びっしり書かれた文字の大きさが、私のいつも書いてる文字の4分の1ぐらいの大きさだった! えーっ! 倍率下げたのに、若者はもっと小さい文字でやってるのか! すると、さっき開いてた画面に書いてた「…5本中4本がシモネタになる方に100円(笑)」の文字は、後ろを通ってた人たちに“丸わかり状態”だったのか?(笑)

「ChatGPT」の限界(笑)

 私が今のところ日本で2人しか確認していない「正義と真実の人」のうちの1人である三木町の上原から(ちなみにもう1人は桑原茂一。ご年配の方から「多羅尾伴内こと藤村大造もいるではないか」と言われるかもしれないが、多羅尾伴内は「正義と真実の使徒」だ。どうでもええけど)、時代の先端を行くアホなメールが届いた。何をやったかというと、前回の「修正ガントチャート、発動。」の日記を丸ごと、「ChatGPT」に要約させてみたらしいのである。その上原からのメールを私の誠実な判断で無断転載すると、以下の通り。

*****

 さて、最近めっきり性能がアップしたChatGPTに「団長日記」を要約させたらどうなるか、ちょっと気になったので、9月1日の「修正ガンチャート、発動。」でやってみました。

(指示1)「次の日記を100文字以内にまとめてください」(団長日記を添付)
(回答1)複数の仕事を抱えると、優先順位をつけても進行が滞りがち。ガントチャートも崩壊しがちだが、10月末や12月末の締切に向けて新たに計画を立て直す必要がある。とりあえず今日は水槽掃除をしよう。

(指示2)「50文字にまとめてください」
(回答2)優先順位をつけても仕事が進まず、計画を立て直す必要がある。

(指示3)「10文字にすると?」
(回答3)仕事が進まず計画崩壊。

 腹筋が崩壊するぐらい笑いました(笑)

*****

 で、お互いメールで爆笑しあった後、「ChatGPT、ツボを押さえてますね」という話でやり取りは終了したのであるが、気になる点も無きにしも非ずなので、解説してみよう。

 まず、100字に要約したChatGPTが元の文章からカットしたのは、
●「ウニの苦しみ」のくだり。
●ごんのツッコミ。
●「人間だもの」のミニオチ。
●「授業があるのを忘れてた」というミニオチ。

 続いて、それをさらに50字に要約した時にカットされたのが、
●「水槽掃除に逃げた」というミニオチ。

 つまり、ChatGPTはあの文章から「しょーもないオチネタは全部いらない」と判断したわけである。真面目にロジカルに要約するならそれは好判断であり、作られた文章は全くもって見事な出来栄えである。しかし、大きな問題点が一つ。それは、「しょーもないオチネタ」をカットしていった結果、「要約文から“団長度”がどんどん削られている」という結果になってしまっていることだ。それを数値で表すと、

(元の文章)……団長度100%
(100字要約)…団長度30%
(50字要約)  …団長度1%
(10字要約)  …団長度23%

という感じである。まず、「100字要約」の文章は、「水槽掃除」で落とすための前半の持ち上げ方が足りず、効果的なネタ振りになっていないので30点。次に「50字要約」は、団長の文章表現の“風味”が一切排除されて、もはや誰が書いた文章にも使える文になってしまっているので、文としては完璧だけど「団長度」としては1点。

 ちなみに、最後の「10字要約」で「団長度」が急に上がっているのは、最後に「崩壊」という言葉を持ってきたところが「キャッチコピー」としてポイントを稼いだからである(…と解説してて「俺の差別化要因はそこか」と思ってしまったが・笑)。ただし、意図して「あの文章から団長らしい単語を選び出したら『崩壊』になった」というのであれば「恐るべし、ChatGPT」であるが、偶然、もしくは普通に文章の中から適当な単語を見つけただけなら「取るに足らんぞ、ChatGPT」なので、吟味の上で23点となった。何で中途半端な「23点」かというと、ダイドーの『とろけるピーチネクター』の果汁が23%だからである(詳しく説明すると『ダイドーの23%』というタイトルで『江夏の21球』ぐらいの話が書けそうなので、ここでは割愛する)。

 というわけで、とりあえずこの一例においては、ChatGPTはなかなか見事に要約したものの、さすがに「団長らしさ」はまだ学習していないということであろう。ま、「そんなもの誰が学習する」という話ではあるが(笑)。しかしこれ、私がタウン情報時代から書いてきたありとあらゆる文章をAIに全部、徹底的に学習させて、「すまんけど上原を腹筋攣るぐらい笑わせる日記を5本ぐらい書いてくれ」いうて指示したら、10秒ぐらいで作ってくれるようになるんか? もしできるのなら、5本中4本がシモネタになる方に100円(笑)。