私が「丹波篠山焼き栗大使」を勝手に名乗っていることは、ヘビーな『うどラヂ』リスナーと団長マニア以外、丹波篠山市も丹波篠山焼き栗協会(あるのか?)も全く知らないことではあるが、こないだの金曜日に夫婦で、去年の12月以来半年ぶりの「丹波篠山焼き栗ツアー」に行ってきた。江木俊夫が笛を吹いてないのに「大使出動」である(これはさすがに細かすぎて伝わらないか)。
9:50に車で我が家を出発。BGMにジム・ホールの名演「アランフェス」が入ったCDを薄~くかけながら高松檀紙インターから高速に乗って、鳴門から淡路島を縦断して、明石海峡大橋を渡って兵庫県の本土に上陸して、そこから高速を道なりに北上。2時間40分ぐらい走って、12:30に丹波篠山市の中心街(といってもビルは全く建ち並んでない田舎だけど)に到着した。いつものように1時間無料の観光客仕様っぽい駐車場に車を停めて、そこからほんの100mぐらいの所にある焼き栗の店「くりの里」に向かうと、店の手前10mぐらいのところで店頭にいた店長(かどうか知らないが)のレイカ姉さんが手を振ってくれた。
…と書いたところで「レイカ姉さんって誰や」という質問の声が私から上がったので(笑)、「焼き栗とレイカ姉さんと我が家」と題して、聞かれてもいない脱線話を挟んでおこう。
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我が家が「焼き栗」にハマったのはもう18年前、訳あってイタリアに旅行に行った時に、ベローナのどっかの公園でおっちゃんが1人、屋台で焼き栗の実演販売をやっているのを見つけたのが始まりである。近づいて見たら、浅いドラム缶みたいな器に大きな焼き栗が山盛りになっていて、その一つ一つがパックリと口を開けて中からホクホクの栗の実が顔を出していた。そのビジュアルがあまりにもうまそうだったので、とりあえず10数個入った紙袋を2つ買って、1個ずつ殻をパキッと割って中の実をゴロンと出してパクッと食べながらブラブラとホテルに向かって歩いて帰ってたら、あまりのうまさに止まらなくなってホテルに着くまでに1袋半をあけてしまったという、我が家ならではの焼き栗との衝撃の出会いであった。
しかし、イタリアは高松からおいそれと行けるところではない。
それから数年経ったある日、京都の錦市場を散策していたら、「京丹波」という焼き栗の店を見つけた。「これだ!」と思って買ってその場で食べたら、期待通りメチャメチャうまい! 私は狂喜してあと3袋買い足したら、店の人に「焼きたてでまだ湯気が出ているので、袋の口を開けて蒸気を逃がしながら持って帰ってください」と言われた。しかし、京都から岡山まで新幹線の車内で大量の焼き栗の袋の口を開けたままにしてたら他のお客さんに副流煙ならぬ“副流臭”…はイメージ悪いな、“副流香”をなびかせてしまう。そこで一計を案じた私は、なるべく他の乗客にニオイが伝わらないように、指定席を取っていたのに焼き栗を持って乗降口の方に行って立ったまま帰るという、「指定席に座る」より「焼き栗の蒸気を抜く」方を優先するほどの舞い上がりぶりを見せていたのである。ちなみに一度、東京から新幹線で帰る機会があった時に、「焼き栗を買うため」だけにわざわざ京都で途中下車して「京丹波」に行って大量に焼き栗を買ってきたこともある。
しかし、京都ならイタリアよりは行けるが、それでも高松からおいそれと行けるところではない。
そんな局面が動いたのが、5年ほど前。ひょんなことから、我が家はその「京丹波」が丹波篠山市にもあることを知ってしまった。しかもその頃、我が家は年1回ぐらいのペースで神戸三田のアウトレットに買い物に行っていたのだが、丹波篠山市は三田のアウトレットからわずか30分ぐらい先にあるではないか。ということで、それから我が家では「三田アウトレット~丹波篠山の焼き栗」、余裕があればそこに六甲山や有馬温泉の一泊を組み込んで…というドライブレジャーコースが定着することになった(といっても年に1回か、せいぜい2回であるが)。
それを何年か続けた後、一昨年あたりから「時間をより効率的に使おう」ということで、まず夫婦で三田に行って、アウトレットで家内を降ろして、家内が買い物をしている間に私が一人で丹波篠山に行って焼き栗を買い込んで、再び三田に戻って家内と合流して高松に帰ってくるというパターンに進化(?)した。
それが数年続いた去年の春、その年初めての「三田~丹波篠山焼き栗ドライブレジャー」に行くことになって、いつものように私が三田で家内を降ろして一人で丹波篠山まで焼き栗を買いに行って、1時間半ぐらいで三田アウトレットに帰ってきて家内のお気に入りの店に行ったら、いつものように家内が店のスタッフとダベっていた(その店のスタッフは女性が数名、男性が数名いるのだが、家内はそのみんなとすっかり顔なじみになっている)。そこへ私も交じって一緒にムダ話をしていたら、何と、そこのスタッフのお姉さんの一人が丹波篠山出身であることが判明した。私が丹波篠山に焼き栗を買いに行っていることは家内から店のスタッフに伝わっていたらしく、そこからその丹波篠山のお姉さんと「焼き栗話」ですっかり盛り上がって、「これは三田アウトレット~丹波篠山の焼き栗コースに楽しみが一つ増えた」ということで、我が家はウキウキしながら高松に帰った。
ところが、その半年後の去年の9月、事件が起こった。三田アウトレットの家内のお気に入りの店が、アウトレットから撤退してなくなったのである。すっかり親しくなっていた家内お気に入りの店のスタッフも当然いなくなってしまった。それ以降、「あっち方面に行く魅力が半減したなったなあ」と言いながら、それでも12月になって「焼き栗だけ買いに行くか、秋の新栗がまだちょっと残っとるかもしれんし」ということで、今度は焼き栗を買うためだけに、丹波篠山方面に行くことになった。
12月某日、テンションはいつもの半分で2時間40分ぐらいかけて丹波篠山に着いて、いつもの1時間無料の駐車場に車を停めて「くりの里」に歩いて行った。で、店頭で何袋買って帰るか考えていたら、店頭にいた姉さんが我々夫婦をのぞき込んで「あっ!」と言った。
我が家「え?!」
姉さん「あの、三田の○○にいた△△ですー!」
我が家「えーっ!!!!!」
という奇跡の再会をしたのが、冒頭の「レイカ姉さん」です。ふー、長かった。
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そういう経緯で家内がライン交換までするようになった店長(かどうか知らないが)のレイカ姉さんに、今回はうどんのお土産を持って行って(もはやただの客とは思えない振る舞いだ・笑)、2200円の大袋を9袋も買って、久しぶりの再開に30分以上も立ち話をして、3人で写真まで撮って、さらにすぐ近くにある「京丹波」でも1800円の大袋を5袋も買って、もはやお土産と言うより「仕入れ」みたいな量の焼き栗を車のトランクに積んで、そこから三田のアウトレットに寄り道をして、18:30頃高松に帰ってきて、そこから買って来た焼き栗を上原と知人の南原さんに配って、さらにもう夜の7時半を過ぎているというのに日の出製麺所の奥さんに電話をして坂出まで行って焼き栗を渡して、そこからまた高松にとって返して閉店後の「ふみや」と「ピッコロジジ」に電話して焼き栗を配って、21:30頃家に帰ったという、楽しいエネルギーを使い果たしてその日の夜は倒れ込むように爆睡した大使であった(笑)。