『笑いの文化人講座』、今も秘かに生息中(笑)。

 「私が行った飲食店の回数ランキング」で去年、今年とトップを独走しているのは、うどん店ではなく、「SALON NAKAZORA」である。

 実は数年前のある夜、我が家夫婦とリビング高松の谷本ねえさんの3人で何かを食べに行った後で谷本ねえさんに「おしゃれなカフェバーとか連れて行ってくれ」と言ったら、瓦町の路地の狭い階段を上がった2階にある「珈琲と本と音楽/半空(なかぞら」という店を紹介された。そこはカウンター席だけの狭い薄暗いおしゃれな店で、壁の本棚の中にたくさんの賢そうな本が並んでいたのだが、その中に交じって『笑いの文化人講座』と『恐るべきさぬきうどん』と、さらに『インタレスト』まで置かれているのを見つけたのである。

 聞くと、この店のオーナーがどうも私の書くオバカ文章を気に入ってくれているらしく、その後、お互いを紹介し合ってすっかり“お知り合い”になって、新しい『インタレスト』が出るたびに店に「お持ち帰り自由」で置いてくれるようにもなった。ただ、「半空」は客層が我が家夫婦よりはるかに若く、さらに“意識高い系”のお客さんも多いように感じられたため、我が家夫婦は行く度にいつも「店の雰囲気を壊して営業妨害になっているのではないか?」という不安を抱えて店の隅に縮こまっていたのである。いや、誰が見ても縮こまっているようには見えなかったと思うが、気持ちの中ではいつも恐縮していたのである。

 そしたら2年前、「半空」が西日本放送の東の隠れ家みたいな場所に2号店の「SALON NAKAZORA」をオープンした。そして、「半空」のオペレーションを若手に任せてマスターがこっちに常駐するようになったので、それから我が家夫婦は新店を応援する意味も込めて(あと、「こっちはちょっと年齢層が高くなるかもしれない」という期待もあって・笑)、「SALON NAKAZORA」の方に入り浸るようになったのである。

 というわけでこないだまた「NAKAZORA」に寄ったら、マスターから「これ、田尾さんにぜひ見せようと思って」と言ってスマホの画面を見せられた。見ると、それはグーグルのクチコミサイトの中にある「半空」の方のレビューページで、そこにこんなクチコミが出ていた。

<笑いの文化人講座が揃っています。読むと店の雰囲気も相まって、「笑ってはいけない」を楽しむことができます。>

 「半空」で『文化人講座』をおもしろがってくれている客がいるのか! しかも、あのおしゃれで静かな店内で声を出して笑えないことまで楽しんでくれているとは(笑)。

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 ちなみに、知っている人には言わずもがなであるが、『笑いの文化人講座』は私が編集長をやっていた『月刊タウン情報かがわ』(後の『TJ-Kagawa』)で1982年から21年間連載された「読者投稿のお笑いコーナー」である。それをまとめた単行本は全25巻、それに加えてリミックス版が1巻出たところで私が会社を辞めたために終了したが、当時の中高生の間では認知度がおそらく70~80%以上あったのではないかと思うくらいの大ヒット企画であった。

 『月刊タウン情報かがわ』の部数を一気に伸ばしたのは、間違いなく『笑いの文化人講座』の功績である。また、第1回NTT全国タウン誌大賞で金賞を受賞したのも(「プロフィール詳細」欄参照)、「読者投稿ページ(笑いの文化人講座)が画期的におもしろい」という評価をもらったので『笑いの文化人講座』のおかげである。さらにその後、全国ネットテレビの『ボキャブラ天国』や『さんま御殿』の投稿に『笑いの文化人講座』からのパクリが続出したことがあったり、替え歌の奇才・嘉門達夫さんから「文化人講座のネタを使いたい」というオファーがあってCDに収録されたり(笑)と、その笑いのクオリティはローカル出版なのに全国にまで知られていたというコンテンツであった。

 そんな中、こないだ、団員S原がこんなのを見つけて送ってきた。

 具体的なことはよくわからんが、どこかの図書館で南極の昭和基地に置かれていた本を集めた「昭和基地から帰ってきた本たち」という企画展のようなものが開かれるらしく、それに対してこの投稿人の方が『ブレイクエイジ』という本が持ち込まれていることにツッコミを入れているのだが、掲載されていた写真を見たら、その『ブレイクエイジ』の横に何と、『笑いの文化人講座』が9冊も並んでいるではないか! 南極の基地でも読まれてたとは、隊員の皆さんがおかしくなってないか心配するぞ(笑)。というか、S原もようこんなの見つけてくるわ。

 とりあえず、もう書店では流通していない本なので、興味のある方はどっかで入手してください。単行本26冊の中に、爆笑ネタから微笑ネタまでおそらく全部で2万本ぐらい収録されています。マイナーなコーナーでは、こんな感じのネタも100本ぐらい載っております(笑)。

<熱血回文>

●奈良や、鹿に菓子やらな。

●はげ頭にまたアゲハ。

●団地やのに鬼の家賃だ。

<英文怪訳>

●I have no money.(私はハブのまねができる)

●Your eyes only.(湯は会津に限る)

●She isn’t liar!(シーズン到来や!)