「気を緩めとったら、お菓子が消えるんぞ」

 6月1日に発行した『インタレスト』37号の第1特集の「四国4県の小中学校の給食メニュー781食を調べてみた件」が一部で評判がいいらしくて、こないだ三豊市の教育委員会から「もし残っていれば100部ほど頂けませんか?」という連絡が来た。そこで今日の午後、37号編集長で38号の助監督に就任した安藝(4年女子)と38号編集長の佐野(4年男子)が届けに行った。外部のしかるべきところから『インタレスト』の“まとめ発注”が来たのは、最近では36号の「輸入の明細」の特集を「研修で使いたい」といって県内の講師の方から50冊ぐらいオファーがあり、その前は23号の「そうだったのか!日本の税金」をこれも「研修で使いたい」ということで県外の政経塾みたいなところから50冊のオファーがあったりしたが、いずれも渾身の情報収集と斬新な編集をした力作だったので、ちょっとうれしい(笑)。お役に立てて何よりです。

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 というわけで、今日は夕方4時から『インタレスト』の2年生を集めた別の授業があったので、そろそろ佳境に入り始めた38号の作業を手伝わせながら、まだ経験の浅い2年生に制作の過程を体感してもらうことにした。

 今日の作業は、次号の第1特集候補の情報整理と商品撮影。その商品とは、ある切り口で集めにかかっている27種類の「全国の銘菓」である。ここまで、7月から8月にかけて採用する銘菓の選考と情報収集を行い、9月から何人かで手分けして買いに行けるものは直接購入、買いに行けないものは通販で取り寄せて、入手した銘菓の外観と中身の写真を撮り、「撮影が終わったお菓子は食べてええぞ」ということで作業を担当チームに任せて進めていたのであるが、今日の時点で「半分ぐらい撮影が終わった」というので、この日は途中経過の確認とこれからの作業の指示をすることにしたのである。

 ところが…

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 編集室に集合したのは2年生14人と、編集長の佐野と、特集補佐の秋山(4年女子)の計16人。ここまでの撮影と情報管理は佐野と安藝と秋山が中心になって進めていたので、まず途中経過を確認することにした。

田尾「一つずつ確認していくぞ。秋山、今まで撮った写真のフォルダを開けて、写真があるかどうか確認していけ。まず、最中(もなか)。撮影したか?」
佐野「撮りました」

 秋山がパソコンの中の「銘菓」のフォルダを開けて、大量に入っている撮影済みの写真をチェックする。

秋山「あります」
田尾「木村(2年男子)、後ろのホワイトボードの一覧表の『最中』の横に『済』って書いとってくれ。次、外郎(ういろう)。これはこないだ撮りよったな」
佐野「撮りました」
秋山「写真、あります」
田尾「次、羊羹(ようかん)」
秋山「………写真ありました」
田尾「次、粟おこし、岩おこし、雷おこし」
秋山「粟おこしはあります。岩おこしと雷おこしはまだ商品が来ていません」
田尾「通販で注文したやつがまだ来てないんか。次、八つ橋」
佐野「こないだ撮りました」
秋山「写真、あります」

 …という感じでチェックしていたら、「カステラ」で事件が起こった。

田尾「次、カステラ」
佐野「カステラはまだ撮ってないと思います」
秋山「写真も………ないですね」
田尾「あれ? カステラはこないだ坂東(2年女子)が買うて来てなかったか?」
坂東「買って来ました」
田尾「買うて来たのにまだ撮影してないんか。どこにある?」

 みんながあちこちの机の上や棚や本の間やいろんなところを探し始めたが、見つからない。

田尾「坂東、カステラと一緒にどら焼きも買いに行ったやろ」
坂東「どら焼きも買ってきてその机の上に置きましたよ」
田尾「どこや、ないぞ。写真は?」
佐野「撮った記憶はないですね」
秋山「フォルダの中にもないです」
田尾「どういうことや。写真撮ってないのに誰かが食べたんか」

 2年軍団からドッと笑いが起こる。

佐野「金曜日に確か、安藝さんが編集室に来るって言ってましたけど…」
田尾「安藝が食べたんか。いや、安藝はちゃんとしとるからそんなことせんわな」
佐野「誰がちゃんとしてないんですか?」
田尾「それは言えんな。とりあえず安藝に連絡してみ」
佐野「安藝さん今、何かに参加してるから電話取れないと思います」
田尾「ほな、あとで確認しとけ。2年生のみんな、そういうことや。気を緩めとったらお菓子が消えるんぞ」
坂東「勉強になります(笑)」

 みたいなことがあって、気を取り直してこの日は「軽羹(かるかん)」と「柚餅子(ゆべし)」と「ボーロ」と「もみじ饅頭」と「ミレービスケット」の写真を撮って、残りの和菓子の入手の段取りをして終了。いつものようにてんやわんやの『インタレスト』編集作業の一幕でした。しかし、ほんまにカステラとどら焼き、どこに行ったんや。