「はなや食堂」の私的天ぷらの食べ方(どうでもええわ・笑)

 『インタレスト』37号は無事、31日夕方に納品されることになったので、6月1日から有名人気うどん店等に配布したいと思います…じゃなくて配布します…じゃなくて配布する予定です。

 昔、広告代理店に就職して1年目だったか2年目だったか3年目だったか、まだ組織の最下層で泥のように働いていたある日、上司に何かの報告で「……したいと思います」と言ったら「したいと思うだけか、するのか、どっちや」と言われて以来、私は「思います」にはそれなりに気をつけている。安易に「思います」と言わずに、「します」とか「する予定です」とか「する計画で今のところ順調に進んでいます」とか、きちんと具体的に状況を伝えるように気をつけていると、だんだん自分の思考の中から“曖昧さ”が減ってきて、やり取りに“キレ”のようなものが養われてくるような気がするからである。けど、何にでも「思います」を付けてしまうのは世の大きな流れで、そこいら中でみんなが使っているし、テレビからも「思います」があふれるように流れてくるので、意識してないとすぐに「思います」を付けてしまうので、気をつけるのもなかなか難しい。

 というわけで、一番ぼかした言い方で無難そうな「配布したいと思います」はここでは使わないが、かといって「配布します」と言い切るのは、万が一、何かのアクシデントがあって配布できなくなった時に「配布する言うとったやないか!」という切迫したユーザーからのお叱りがあるかもしれないので、「配布する予定です」に落ち着きました(笑)。ま、めんどくさい話ではあるが、“誠実な商業文章”を生業の一部としてきた昭和のおっさんの日本語表現に関する矜持でもあるのでご勘弁を。従って、私が「思います」を使う時は「ほんまに思っているだけ」である可能性があるので、団員たちは気をつけるように(笑)。あ、『インタレスト』37号を郵送希望の方は、27日の日記でご確認ください。

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 さて、木曜日は1つ目の担当授業が11:15に終わって2つ目の授業が13:20からなので、1週間で唯一、「大学で昼食を摂れる日」である。大学から車で10分以内にある私的に“差別化された付加価値のある店”の選択肢は「宮川」「八輻(はちや)」「はなや食堂」「川川」「香の香」…あたりであるが、今日は「はなや食堂」、通称「フラワーショップレストラン」(私しか呼んでないが)に突撃することにした。すると、11:30頃に店に入ったら、右奥のショーケースにイナリが並んでいるではないか! 「はなやのイナリ」は「私の好きなうどん屋のイナリランキング」のトップ3に君臨しているのだが、近年、作る量が減ったのか大人気になったのか、昼にはいつも売り切れになっていて、年に数回しか「はなや」に行けてない私はもう3年ぐらい「はなやのイナリ」を食べてない。それが数年ぶりに2個入りと1個入りの皿が2つずつ鎮座しているではないか!

大将「あ、田尾さん、今日はイナリありますよ」
田尾「またまたー、もう何年も“来たら売り切れ”ばっかりで、昼前にあったことがないやん。そんなん、もう昼が近いのにあるわけが………ほんまや!」

 というわけで、奇跡の再会に舞い上がった私は「食べる用」に1つ入りの皿を取った上に「お持ち帰り」を4個頼んでしまった。

 この日店で食べたのは、「うどん小、天ぷら2個(ゴボウ、チクワ)、イナリ1個)というラインナップである。これを見て一撃で「うどんと天ぷらのバランスが悪いんちゃうか?」と思った人は、ただの団長マニアだ(笑)。すなわち、「はなや」の小に天ぷら2つ取ったら、普通に“麺食い”の私が「麺、麺、天ぷら、麺、麺、天ぷら」のペースで食ったら1つ目の天ぷらが半分終わった頃に麺が終わってしまうからである。しかし、私は去年のある日、団長ともありながら今頃になって、「はなや」のうどんと天ぷらの新しい食べ方を発見してしまった。

 えー、「はなや」のかけのダシは透き通ってキリッと味が付いた、いわゆる「昭和の食堂うどんのダシ」の最高峰にあるのですが、とにかく熱々でたっぷり入ってくきます。そこで、まず、ダシを飲みながら天ぷらを1個、やっつけちゃう。これが、何ともゆるい、うどんをすするエネルギーを全く使わない“ウォーミングアップ”の時間になるのです。「そんなことしてたらうどんが伸びるじゃないか」と思われるかもしれませんが、「はなや」のかけうどんは少々伸びても全く問題なし。むしろちょっと伸びた方が、飲み込む力の衰えた私には返って心地よいというより、それが「昭和の食堂うどん」の王道だと言ってもいいのではないかと思うのです。いやー、ガタつくコンクリートの床がちょっとガタつくイスに座って、何も気遣いすることなくゆる~い時間が流れる。ええ一時でした。

 というわけで、「はなや」で昼食うどんを食べて、イナリを4つパックに入れてもらって大学に帰り、常温で悪くなったらいかんので風味が落ちることを覚悟の上でイナリを冷蔵庫に入れて、13:20から本日2本目の授業をやって、15:00頃から残務と他に抱えている原稿や企画ものの作業をして、夕方、大学を出て帰路について善通寺駅当たりまで走った時に研究室の冷蔵庫にイナリを入れたままであることに気がついて引き返すという、老人力を遺憾なく発揮した1日でした。