ふう、暑いのう日本は。

 7月に入って何だか急に暑くなって、この歳になると野外で長居してたら死ぬかもしれないという気温が続いているのに迷惑なねっくから電話が掛かってきて「高松に行くからゴルフ行こー」と言われて、その時はまさかこんな気温になるとは思っていなかったので「しょうがないのー」ということで付き合ってやることにしたのだが、今、当日嵐がやって来てコースが閉鎖になることを祈っているところである。もし当日もこんな気温でピーカンだったら、私はクラブハウスで原稿でも書きながら時間を過ごして、ねっくはイノシシか何かと楽しく回ってもらうことにしよう。

 というわけで、近年は私が子供の頃より確実に暑くなっていると思ったので、私が子供の頃の1960年代から今日までどれだけ暑くなってきているのかを、気象庁のデータベースから確認してみた。今年はまだ7月が終わってないので6月の平均気温を拾って、5年の塊で再平均を出して20年ごとに推移を書き出してみたら、高松市はこんなことになっていた。

<高松市の6月の平均気温(℃)>
(1961~1965年) 21.78
(1981~1985年) 22.24 <+0.46>
(2001~2005年) 23.92 <+1.68>
(2021~2025年) 24.04 <+0.12> (60年前から2.26度上昇)

 まず、「高松市(の計測地点)は60年前から2度以上暑くなっている」という数字が確認された。「2度」と言われても瞬時にはピンとこないが、例えば風呂に入るのにいつもの快適な湯の温度が2度上がってたらあわてて水を足すし、体温が2度上がったら仕事も学校も休むぐらいしんどくなるという、まあそれぐらいのことが60年かけてゆっくりと起こってきたということである。あとは、2000年代前半に平均気温が急に上がって、そこから近年は上昇幅が少し収まってきたという数字も確認された。

 続いて、「単独紹介より比較紹介の方が多くのメッセージが出る」という編集手法のセオリーに則って高松より農村度の高い「財田」も調べてみたら、こういうことになっていた。

<財田町の6月の平均気温(℃)>
(1961~1965年) 観測値なし
(1981~1985年) 21.44
(2001~2005年) 22.60 <+1.16>
(2021~2025年) 22.70 <+0.10> (40年前から1.26度上昇)

 まず、財田町(の観測地点)は高松市より1度くらい低い。そして、財田町も2000年代前半に平均気温が急上昇しているが、その20年ごとの上昇幅は高松市よりかなり小さいことがわかる。「40年前比」で比べても、高松市が「1.80度」上昇しているのに対し、財田町は「1.26度」の上昇にとどまっている。財田より高松の方が日光が強いわけではないと思うので、短絡的に考えればこれは「地面を覆うアスファルトの量」や「コンクリートの建造物の量」や「エアコンの室外機からの廃熱の量」や「工場の煙突や廃熱設備から出る熱の量」や「車やいろんな機械のエンジンから出る熱の量」といった都市化の度合いが大きく影響しているのではないか? という仮説が出てくる。そこで、都市化の最たる場所である東京の6月の平均気温を調べてみると、こんなことになっていた。

<東京都(中心部)の6月の平均気温(℃)>
(1961~1965年) 21.68
(1981~1985年) 20.82 <ー0.86>
(2001~2005年) 22.96 <+2.14>
(2021~2025年) 23.34 <+0.38> (60年前から1.66度上昇)

 気象庁のデータでは東京都の観測地点は10カ所あって、この数字は東京の最も中心部のものであるが、何と、6月の平均気温は押し並べて高松より低く、気温上昇幅も高松より小さいことが判明した。さらに、東京では1980年代前半に、その20年前より平均気温が下がっている。その反動なのか、2000年代前半は一気に2度以上上昇しているが、それでも60年前からの気温上昇幅は高松の「2.26度」に対して「1.66度」の上昇にとどまっている。都市化の度合いは高松より東京の方が断然であるから、「地球温暖化・都市化主犯説」はちょっとよくわからないことになってきた。「都市化も行き過ぎると気温が乱高下する」という仮説も出そうである。

 ちなみに、いわゆる「温室効果」のある気体は「水蒸気」が断トツであるが、「高松が財田や東京より水蒸気が多い」というデータ(そんなことはないと思うのだが)が急に出てこないので、この気温データとの関連性はよくわからない。ついでに言えば、温室効果が水蒸気の半分以下とされる二酸化炭素も、「財田や東京より高松の方が二酸化炭素濃度が高い」というデータが見つからないので、これも関連はよくわからない。

 以上、とりあえず高松と財田と東京の6月だけのデータを並べてみただけで、いろいろわからないことがポロポロ出てきたということは、全国各地や世界各地の他の月のデータを調べたらさらに不思議なことが噴出するような気がしてきたが、要するに「気象というものはなかなかそう単純にはいかない」ということであろう。

 「物が継続的に温まる」というのは、
①熱が加わる
②熱を逃がさない(抱え込む)
の2つの要素が関わってくるが、地球が温暖化している原因としては、①の「太陽活動」も「都市化」も「森林面積の減少」も、あるいはもしかしたら「地球内部の活動」も(何かすごいことが起こりつつあって、熱水やら火山活動等で内部の熱が出てきているのかもしれないが、穴を掘ってブラジルに出たことがないのでよくわからない)、②の水蒸気や二酸化炭素の「温室効果」も、すべて影響が完全否定されているわけではなく、しかし「決定的な優先順位も付いていない」というのが現状だと思う。

 でも今は社会もマスコミも、おそらく学校教育も、「二酸化炭素主犯」の一択の様相である。ここに書いているのはただのデータと、それに関連するいくつかの選択肢を並べているだけであるが、そんなことは言っていないのに「二酸化炭素削減を否定するのか!」というヒステリックな非難が飛んできたりするのが昨今の風潮である。実際、『うどラヂ』みたいなゆるい番組で「選択肢を並べてみた」みたいなことを話しただけで“環境運動家”みたいな方からクレームが来たことがあるので、書こうと思えばなんぼでも書けるが今日はこれぐらいにしておく(笑)。

 というわけで、この暑い中、今週12日(土)の『超麺通団5』出版トーク会が近づいてきた。丸亀町商店街の宮脇書店本店で14:00から。一人では恥ずかしいので『うどラヂ』メンバーを連れて行くことになったら、ディレクターの鍛冶君の要請で、現場で『うどラヂ』を1本収録することになりました。書店の一般客の皆さんにはえらい迷惑を掛けることになるかもしれませんが、お怒りはすべて首謀者のN日本出版社のU山さんが受けますので、何卒ご容赦を(笑)。